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久保 真治
no journal, ,
高温ガス炉の特長はその優れた安全性であり、BDBAにおいても炉心溶融が発生しないことが原子力規制庁に認められたことで大規模な追加工事をすることなく、2021年7月に運転再開することができた。カーボンニュートルの実現に向け、高温ガス炉を高温熱源として、ヘリウムガスタービン高効率発電システム、負荷変動吸収のための再生可能エネルギーとのハイブリッドシステム、水素還元製鉄への利用が期待されるカーボンフリー水素製造システムと様々な産業へ利用することが可能である。カーボンフリー水素製造システム(あISプロセス)の研究開発はガラス機器段階を脱し、実用工業材料製機器試験の段階まで進捗しており、150時間(毎時30L)の水素製造に成功している。原子力機構は、今後、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略に示された工程表に則り、HTTRを活用した「固有の安全性」確認のための試験、カーボンフリー水素製造に必要な技術開発(HTTR-熱利用試験)および高温熱を利用したカーボンフリー水素製造技術(ISプロセス)の確立を進めていく計画である。
久保 真治
no journal, ,
高温ガス炉の特長はその優れた安全性であり、BDBAにおいても炉心溶融が発生しないことが原子力規制庁に認められたことで大規模な追加工事をすることなく、2021年7月に運転再開することができた。高温ガス炉はカーボンフリー熱源として、化学コンビナートの操業に必要な蒸気供給,高効率発電(約50%と発電効率が高い)、発電システムの排熱を活用した海水淡水化および水素素製造など、様々な産業へ利用可能である。特に、石炭を用いるため現在多くの二酸化水素を排出している製鉄は、石炭に代え水素を還元剤として利用する水素還元製鉄への利用が期待されている。原子力機構は、今後、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略に示された工程表に則り、HTTRを活用した「固有の安全性」確認のための試験(ヘリウムガスによる炉心冷却を停止しても原子炉が静定すること)、カーボンフリー水素製造に必要な技術開発(HTTR-熱利用試験、HTTRと水素製造施設を高温ヘリウムガス配管で接続した試験を通じて安全設計を確立)および高温熱を利用したカーボンフリー水素製造技術(ISプロセスによる高温熱源を用いた水の熱分解)の確立を進めていく計画である。